【報告】MCシンポジウム管理実践報告 ③部署の課題をチームで共有する(MCチャート)-1

石巻赤十字病院
「看護副部長と看護師長のMCチャートによる対話促進」

発表者:奥田裕子看護副部長、佐藤みさ子看護副部長

石巻赤十字病院では2021年からMCチャートを使った目標管理に取り組んでおり、部署の課題を副部長と師長・係長が対話的にすり合わせ共有することができるようになりました。しかし一部の部署では計画の実行が進まず、抱え込んでしまう様子が見受けられました。そのことについて副部長らでPDPを行ったところ、「今後は課題分析と計画立案の部分にも副部長が丁寧に関わる」という解決策が見えてきました。

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看護部の概要

当院がMCチャートを導入する経緯については、本シンポジウムの管理実践報告①PDPの管理実践報告をご参照ください。

当院の看護部の組織について説明します。
看護副部長は4名ですが、そのうち実際に部署を管理している副部長は2名です。1人の副部長が、6~7程度の看護単位を担当していることになります。
看護師長は25名で、部署を管理している師長は14名です。部署管理をしている看護師長の平均経験年数は5年程度です。

石巻赤十字病院の看護組織の内訳

 

看護職員数:569名
ケアワーカー:58名

 

看護管理者:
看護副部長…4名(他部署配置:2名)
看護師長…25人(部署管理:14名)
看護係長…35名

 

※部署管理をしている看護師長の平均経験年数…5年
※看護副部長経験年数…2年未満

目標管理にMCチャートを導入してからの変化

課題の共有プロセスの変化

以下の表は、当院が目標管理にMCチャートを導入する前と後の変化についてまとめたものです。

(図1)目標管理にMCチャートを導入する前と後の変化

「管理室からの課題提示」については、以前は看護部目標という形で、管理会議などを通じて全体に一度に説明しており、個別的なやりとりはあまりありませんでした。
MCチャート導入後は、看護部目標を部署ごとに対話しながら伝え、必要に応じてその部署の課題や看護部側が求めていること・強化したいと思っていることなどを提示するようになりました。

「師長・係長のやりたいことの提示」については、以前は師長が、看護係長やスタッフと共に、SWOT分析などを通して部署の目標を立案していました。その頃は、課題のうち何が目標で何が問題なのかを分けて考えるという認識は低かったように思います。
MCチャート導入後も、自分たちの目標を立案するまでのプロセスは以前と同じなのですが、目標と問題を分けてMCチャートに記入する、というところは意識されるようになりました。

「看護部と部署が対話的に課題をすり合わせて共有できたか」については、以前は看護部が、部署から提出されたシートを確認する程度にとどまっており、フィードバックなどはほぼ行っていなかったように思います。目標の策定や計画立案の過程に看護副部長が関わることがあまりなかったので、提出されてからあれこれとコメントしにくい、というような事情もありました。
MCチャート導入後は、1部署につき1回1時間程度を1〜3回程度に分けて、対話的に課題をすり合わせる時間をもちました。すり合わせをする中で、表現が変化したり、深まったりしたことが増えたように感じています。

目標の表現の変化

当院は、1枚のエクセルシートに各部署の課題を記入し、皆が可視化できるようにしています。MCチャート導入後、課題の表現がどのように変化したかについて、以下の図をご覧ください。

(図2)課題の共有後の変化

例えば、赤い楕円形で印をつけている目標については、当初は「やりがいや楽しさを感じながら患者カンファレンスを開催できる」という表現になっていました。目標のすり合わせの場で、私たち看護副部長が「カンファレンスを開催するのはどういう目的ですか?」「『やりがいや楽しさを感じる』とは、部署のスタッフが具体的にどのような状態になることを指していますか?」などと問いを重ね、様々に話し合いをしていきました。
その結果、「日常の生活習慣を入院生活に取り入れることによって、臨時入院患者が安心して療養生活が送れる」などと、目標が達成された状態がより具体的にイメージしやすい表現へと変わりました。

計画が進まない部署の師長たちの思い

具体的で明確な課題を示すことができたものの、その後、それぞれの部署で計画の実行が進んでいるかどうかをシート上で確認していくと、一部の部署は、なかなか進んでいなかったり、途中で止まってしまったりしていました。
そこで、そうした部署をラウンドして、「計画を進めるために、看護副部長がどのような支援をすればいいか」と師長たちに意見を聞いてみました。すると、以下のような意見が聞かれました。

計画が進まない部署の師長たちの意見

「副部長の支援というより、自分たちが目標をどう管理していくかが大切だと思っている」
「スタッフには、部署の目標や、ケアのうち特に大切にしたいことなどを日々の実践の中で伝えたり、問いかけたりできている。でも、活動の細かな進捗確認までにはなかなか至らない」
「シートをうまく活用できていなくて、自信がない」
「MCチャートについて話し合う時間がなくて、そこに皆の目が向かない。」

私たち副部長は、これらの意見を聞いて「自分たちだけで考え込まずに、もっと困っていることについて助けを求めてくれてもいいのにな」「実際には何もやっていないわけではなくて、一部はできていることがあるはずなのに、それを気づかせることができていない。『私は何もできていない』と思わせているんじゃないかな」などと考えました。

目標管理上の課題について分析する

困りごとを整理し、真の困りごとを設定

MCチャートを使った目標管理では、課題を対話的にすり合わせるところまでは、私たちも部署も「うん。いい感じ!」と感じられ、成功体験を積むことができていると思います。しかし、その後の課題の分析や計画の可視化、実施の部分には課題があると考えられました。

(図3)MCチャートを使った目標管理の年度内のサイクル

以下の図4は、それらの課題について、平林先生の助言を受けながら、困りごと整理シートに落とし込んでみたものです。計画が可視化されていないために、実施していてもその進捗が可視化されない。そのせいで、頑張っても評価されない。また、計画が「す・じ・こ」になっていないために、実施されない。実施されないから、「私たちがちゃんとやれていないんです」と、自分たちを責めている。そうした困りごとの構造が見えてきました。

(図4)目標管理の課題をPDPで分析

この流れを食い止めるために、「真の困りごと」として解決すべきなのは、やはり「課題の分析が不十分」というところではないかと考えました。

方策と今後の方針

私たち副部長は、この方策として、「計画立案の時も、課題の共有の時のように、看護副部長が看護師長と対話の時間を持つようにしてみてはどうだろうか。『一緒に考えよう』と歩み寄ることで、課題を細分化して具体的にするという工程を、看護師長が丁寧に進めることができるようになるのではないか」と考えました。今後はこれらの方策を具体的な計画に落とし込み、対応できるようにしていきたいと考えています。

(図5)私たちが考えた方策


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