おわりに~正解のない世界と向き合う~

私たち三重大学病院の看護部は、「自律的で持続可能な看護組織」を目指しています。
看護組織や医療機関を取り巻く昨今の厳しい環境においても、皆が自律的に「今、何が必要か」を考え、良い看護を提供し続けていく、そんな組織になっていきたいと考えています。

非常に複雑で変化の速い現代社会に生きる私たちは、何が正解なのか、何を信じて進めばよいのかわからない不確実な状況に日々直面しています。
このような状況に対して、「上が決めたことを下が愚直に実行する」という上意下達型の硬直した組織ではなかなか対応が追いつきません。互いに自らを振り返り、支援し合い学び合いながら変化に対応し進んでいく「学習する組織」になっていく必要があります。

このことは決して、学習する組織になれば「正解」がわかる、ということを意味するものではありません。私たちにできることは、わかりやすい答えや手段に飛びついてまっすぐに突き進むのではなく、紆余曲折や試行錯誤を繰り返しながらも、それを振り返って意味づけ、解釈し、「正解らしきもの」の影を追い求め続けることです。

三重大学病院では、面倒で時間がかかったとしても、組織の皆が互いに納得のいくまで話し合い、小刻みながらコツコツとしっかり前へ進んでいくことに日々意識して取り組んでいます。これからも、「自律的で持続可能な看護組織」の実現を目指して、地道な活動を続けていきたいと考えています。