院内で管理者が学習する

学習する看護組織を作るためのロードマップ

学習する看護組織を宣言する
「学習する組織」を目指すには、上意下達的な要素をなくし、トップマネジメントが部署や管理者と向き合って対話する覚悟が必要です。
リーダーの覚悟が示され、組織学習に本気で取り組むことが共有される
メソッド
[目的]
「学習する看護組織」の考え方を理解する
[手段]
・WEBサイトの導入動画
・研修「[C]MCの考え方と活用」の受講
組織学習のリーダーを任命する
組織学習の概念とファシリテーションの方法を学んだ者(CNML・副部長相当)に、管理者の組織学習の推進という使命を与える。
管理者の組織学習の推進にコミットし、責任をもって進める人ができる
メソッド
[目的]
管理者の組織学習を
リードできる機能を身につける
[手段]
・CNMLコースの受講
PDPを活用し、管理的問題の解決を支援し合う
管理者に組織学習の重要性を認識してもらうため、PDPを用いた院内研修を実施し、互いの問題解決を支援し合う体験を得る。
管理者どうしが困りごとを共有し、互いに支援し合うことの大切さに気づく
メソッド
[目的]
院内でPDPの考え方を学ぶことができる
[手段]
院内導入研修教材「[A]PDP概論」動画+テキスト
マネジメント・コンパスの組織的な導入
組織学習の考え方やニーズ分析の方法を理解した上で、MCを活用して組織の管理方針を可視化し、コミュニケーションを活性化させる。
管理者の組織学習が「しくみ」になり、普段の仕事の中に融け込んでいく
メソッド
[目的]
院内でMCの考え方と活用方法を学ぶことができる
[手段]
・院内導入研修教材「[C]MCの考え方と活用」動画+テキスト
試行錯誤の過程を共有し、相互に学び合う
師長会や主任会を使って、PDPやMCを使ったマネジメントの実践(試行錯誤の過程)を発表・共有し、互いの実践から学び合う機会を作る。
自身の不完全さを引き受け、柔軟に変化し続ける管理者の組織ができる
メソッド
[発展]
他施設のCNMLと「管理者の組織学習の実践」を振り返り、組織学習の質向上を図る
早期からのマネジメント教育
新人・若手の時期から、マネジメント能力の開発を見据えた教育を実施し、次世代の管理を担う人材を育成する。
リーダークラスの人材が育ち、組織の新陳代謝が促進される
メソッド
[目的]
新人・若手・中堅等のマネジメント能力を開発する
[手段]
・マネジメント学習マップ

「学習する看護組織」になる覚悟を示す

先述した通り、学習する組織は「中央がコントロールする組織」ではなく、「各部署が考えて行動し、試行錯誤の結果を共有し、組織全体で学びあう」という在り方です。看護部長などのリーダーが、この組織が「権威による支配」ではなく、「共に学び合い変化していくこと」を目指すのだと、覚悟を持って宣言することが重要です。

これまでも、様々な組織で中間管理職が「自分で考え、主体的に動くことが大切だ」と言われてきました。しかし、いざとなると上層部が対話に応じることがなく、現場が難題を押し付けられるという構造になることが少なくありませんでした。そうなると「学習する組織なんて言っても、どうせ口だけ」という雰囲気になってしまいます。本当に、立場を超えて対話しあい、変化の時代を共に生き抜いていこうという覚悟を伝えることが、組織を変える大事な一歩になるのです。

組織学習のリーダー(CNML) の役割

私たちは、「学習する看護組織」が、外部のコンサルタントや講師の力に頼ることなく、院内で自律的に作られることを目指しています。講師という「正解を知る人」に教えてもらうのではなく、「私たち自身の在り方を共に考える」という学び合いこそが、学習する看護組織の価値だからです。しかし、何もない状態から「学習する看護組織」作りに取り組むのは難しいため、文科省のプロジェクトで「臨床看護マネジメントリーダー(CNML)」の養成プログラムを開発しました。院内で看護管理者が学び合うためには、管理者同士が自分たちの普段の管理業務について、ちょっと集まって共有し合ったり、困りごとを抱えた人がいたら皆で話し合って解決したりといったことが日常的に行われるような組織学習の文化を、院内に根付かせていくことが必要です。

CNML のコースを修了した方の中には、リーダーとして管理者の組織学習に取り組んでいる方もいます。例えば、師長会や主任会などの機会に「管理上の困りごとの共有・互いの問題解決の支援」のグループワークを設け、行動計画~実践~結果の流れを共有することで、管理者どうしが学び合う組織作りに取り組んでいる看護部もあります。また三重県では、三重大学病院看護部を中心に、地域の多様な医療機関から看護管理者が参加し、医療機関の枠を越えて管理者が学び合う取り組みが始まっています。2017 年度から2018 年度に かけて50 名を越える管理者が参加して学び合い、自力では管理者教育を実施するのは難しい中小規模の医療機関の管理者にとって貴重な学びの場ができました。他にも、CNMLによる自主的な勉強会、院内研修の実践など、少しずつ「看護管理者の組織学習」に向けた取り組みが広がっています。

院内にPDPを導入・活用する

多くの医療機関において、PDP を活用して院内の管理者教育を活性化する試みが始まっています。管理者が話しあいながら、「困りごと」から「すぐに着手できるアクションプラン」を見い出す営みに価値を感じていただけている一方、「PDPの考え方を院内で伝達するのが難しい」「研修の成果を普段の業務に繋げられていない」という声も聞かれます。

そこで、院内にPDP を導入する際の大まかな流れ(知識と考え方の共有~繰り返しの演習~共有の場の設定)を設計し、院内で導入研修を行うための動画教材とテキストブックを提供することとしました。その過程では、自施設はもちろん、近隣施設のCNML にファシリテーターとして協力を依頼することも考えられます。

院内でマネジメント・コンパスを導入・活用する

各部署の管理方針を明確にし、組織内で課題を共有して協働的に取り組むためのプラットフォームとして、私たちはマネジメント・コンパス(MC)の導入を提案しています。

その際も、考え方を理解せずにツールだけを使い始めるのは危険なので、まずは考え方(組織学習の理解、ニーズ分析の方法)を共有する所から始めることを想定しています。

実際の活用においては、無料公開されているMC チャートのワークシートを使い、可能であればMC サーベイ(職務満足度調査)を併用することを推奨します。そして、ただツールを使うだけでなく、MC を活用して可視化された目標や問題について、組織内でコミュニケーションが活性化することが重要であることを忘れないでください。